「後半戦のトゥヘルサッカーが招いた必然の敗戦」ヨーロッパリーグ 準々決勝第2レグ リバプール-ドルトムント

試合前は明らかにドルトムントが有利と見られつつ、ホームでの第1レグで1-1のドローに終わってしまい、アウェイでは必勝体制で臨んだドルトムント。

香川をトップ下にした4-2-3-1の攻撃的な布陣で、前半9分のうちに2点を取るスタートダッシュで圧倒的に有利な立場に立ちながら、3-1となった後半12分から3点を奪われて大逆転を食らってしまうまさかの展開で敗退してしまった。

直接的な敗因としては、1点差に追いつかれてリバプールのセットプレイが続いた後半33分に、それまでCKをニアで再三弾いていた香川を下げてギンターを投入したものの、そのギンターが香川のポジション(?)に着くまでにCKを蹴られてサコに決められてしまった、トゥヘルの采配にあるのは間違いない。

ハーフタイムに、「子孫に代々、語り継げるような瞬間をつくり出そう。ファンのために特別な夜をつくり出そう」と選手が鼓舞せざるを得ないような言葉をかけたクロップと、明らかにパニックに陥っていたトゥヘルとの経験の差、モチベーターとしての能力が明暗を分けたと言えるが、メンタルだけでなく戦術的にもドルトムントが逆転される必然的な理由があったと見ている。

今期のドルトムントは4-3-3のフォーメーションで戦い、後半戦は3-4-3という形が多くなっていたが、どちらもSBやWBの選手が攻撃的なポジションを取る事で共通している。そして特に3バックになってからのドルトムントは、守備がマンマークに近い方法でほぼ固められていた。

この試合のドルトムントは前半を2-0とリードして終えたものの、1トップのオリジを基点に2列目のコウチーニョやフィルミーニョ、ララーナ、そしてボランチのミルナーまでゴール前に飛び込んで来るリバプールのゲーゲンプレッシングに対応しきれず、どれも枠を外したりブロックにあったりしたが、前半だけでPAの内から7本のシュートを打たれていた。

そこでドルトムントが、例えばアトレティコ・マドリーのようにコンパクトなゾーン・ディフェンスに切り替えていればそのまま守りきれた可能性は高かったと思うが、ドルトムントは後半も同じようなサッカーで通してしまった。しかもポゼッションで優位に立つ事が前提のマンマーク守備で、なおかつCBが1枚少ない4バックと来れば、相手に押し込まれたら混乱して失点を重ねることは必然である。

レヴィアダービーの後に危惧した通り、トゥヘル監督はダービーでほぼ2軍のメンバーを並べてドローで終わらせ、ダービーを捨ててまで臨んだヨーロッパリーグでは無様な逆転負けという最悪の結果になってしまった。これですぐ解任の噂が出るわけではないが、一時的に求心力の低下を招いているのは確かだ。この次の試合やポカールで再び己の価値を証明を出来るのだろうか。