「日本よ、これが世界最先端のゾーン・ディフェンスだ」欧州CL準々決勝第2レグ アトレティコ・マドリー-バルセロナ

今朝のヨーロッパリーグでは、ドルトムントが一時はリバプールに3-1とリードしながら後半に3点を取られて大逆転負けを食らうという驚きの試合になったが、このバルサがアトレティコに敗退した試合も相当なアップセットだったと言える。

バルサの敗因は、やはり前節のクラシコでレアルに負けたように、MSNの世界最強3トップが南米予選から帰還した後は明らかに調子を落としていて、それがチーム全体のパフォーマンスに影響を及ぼしていた事が大きいが、やはりアトレティコが誇る自慢の堅守が素晴らしかった事も特筆すべきだろう。

フォーメーションはグリーズマンを1トップにしたオーソドックスな4-4-1-1。これが凡庸なゾーン・ディフェンスであれば、ラインを引き気味にして2ラインをコンパクトに保ち、3トップへ入るボールを絡め取る守備に専念するだろう。

ところがアトレティコは、バルサのDFがボールを持ったら果敢にプレスをかけに行く。Jリーグの場合は、前の選手が高い位置からプレスをかけても後ろが連動しない場合がほとんどだが、アトレティコはSHがプレスをかけたら当然のようにSBも上がって行き、状況によっては2対1でアタックをしてボールを奪いに行く。もちろん上がった裏にスペースは出来るが、そこにバルサの選手が上がると必ずSHが戻るかボランチがシフトしてカバーする。この連携が90分間崩れる事が無い。

アトレティコの工夫はそれだけでは無く、通常のゾーン・ディフェンスの場合は4バックがボールサイドにシフトするため、逆サイドは大きなスペースが開きがちになる。レアルと対戦したヴォルフスブルクはそこをサイドチェンジでやられてしまったのだが、アトレティコはSBがCBと距離を取ってタッチ際に寄っており、最初からサイドのスペースをカバーしている。もちろん、その空いたスペースをメッシやネイマールが使おうとしてもボランチがしっかりカバーする。

そしてバルサの強みであるサイドでの1対1に対しては、マークに入った選手は縦に走られても絶対にフリーでクロスを上げさせないポジションを取る。するとバルサの場合は、そこで必ず中へボールを戻して攻撃を組み立て直すのだが、そこには必ずアトレティコのFWがプレスバックでカバーしていてボールをカットしてしまう。

つまり、ただ単に来たボールに対して対処する受動的なゾーン・ディフェンスではなく、バルサの攻撃を先読みして先手を打つ、アクティブなゾーン・ディフェンスがアトレティコの真髄なのだ。松田浩氏が提唱しているようなゾーン・ディフェンスはあくまでベーシックな受動タイプであって、世界は既にもっと先を行っていて日本は地球2周分ぐらいは周回遅れにされている感がある。

それでも好調時のバルサであれば、そんなアトレティコの堅守を力でねじ伏せる地力はあったはずなのだが、いかんせんMSNは絶不調。スアレスはいつものような活発なDFライン裏へ抜け出す動きが見られず、ネイマールは無理な個人技で倒れこむだけ、メッシが消えるのはいつも通りだけど、ほぼボランチの位置に下がって来て全く相手への脅威になっていなかった。

アグリゲートスコアで逆転された後半からは、さすがにバルサもエンジンがかかって前からプレスをかけられなくなりつつあったアトレティコに対して、ほぼハーフコートゲームのように押しこんだが、GKオブラクを中心としたアトレティコの守備陣がPA内で鬼神のクリアでバルサの得点を許さず、逆にバルサのほうに攻め疲れが見え始めた後半43分にイニエスタが自陣PA内で痛恨のハンド、これをグリーズマンが決めてアトレティコが2点目。

バルサは1点取れば延長戦に持ち込めたのだが、長い6分のロスタイム中に起こったPA内っぽい相手のハンドはエリアの外と判定され、メッシのFKは枠を捉えられずメッシも思わず苦笑い。そのままアトレティコが逃げ切ってバルサを破る大金星でベスト4へと進出した。

これでCL準決勝に生き残ったのは、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー、マンチェスター・シティ、バイエルンの4チーム。バルサが消えた今となってはバイエルンが本命だろうが、この試合を見ても勝負に絶対は無い。どっちの組み合わせになっても目が離せない試合になるのは確実だろうね。

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