「ルーニーの時代が終わり、ケインとヴァーディの時代が始まる?」国際親善試合 イングランド-ドイツ

世界チャンピオンのドイツを0-2のビハインドから3点を奪って、世紀の大逆転勝ちを収めたイングランドはホームのウェンブリー・スタジアムでオランダと対戦したが、ユーロに出場できない世代交代中のオランダに今度は1-0から逆転負けと、天国から地獄の結末になってしまった。

ただ、イングランドにとってはこの2試合はあくまでユーロ本大会に出場するメンバーの選考テストの機会であり、先発をドイツ戦から8人入れ替え、しかもフォーメーションは実験的な中盤ダイアモンドの4-1-3-2、そしてDFラインのメンバーは経験の浅い選手を並べたのでホジソン監督にとっては苦戦は想定内という事だろう。

実際に試合を見ても、ちょうど後半35分までの日本対シリアのようで、終始イングランドがオランダを攻め立てて何度も決定機を作るものの得点は前半の41分に挙げたヴァーディの1点のみで、オランダの得点は後半5分にイングランドのCBストーンズが足を滑らせてボールをロストした流れでローズがハンドを取られてのPK、後半32分にはジャギエルカがファールに見えた相手のタックルを流されてのゴールと、不運で作られたピンチを2度とも得点にされてしまったものであり、結果はほとんど内容を反映していなかったと言える。

オランダはユーロ出場権を逃した後もブリント監督が留任しており、戦術は4-3-3で守備はマンマーク、攻撃はワイドなサイド攻撃というオランダらしいサッカーを展開、イングランドがボールを保持する中でもDFの4枚でイングランドのヴァーディとスタリッジの2トップとSBのオーバーラップを、中盤の3枚でトップ下のバークリーとインサイドハーフのララーナ、ミルナーにきっちりマークを付けてイングランドのビルドアップを良く防いでいた。

しかし一度サイドで基点を作られ、バイタルエリアへ相手の侵入を許してしまうとマークがずれてバタバタしてしまい、そこをヴァーディのスピードやバークリーのドリブルで切り込まれてしまう場面を作られてしまうと、前半の終わりごろから後半に頭にかけてDFラインがズルズルと下がってしまい、SBの前のスペースを使われて右サイドのクロスをヴァーディに合わされ失点すると、その後もサイドから何度も決定機を作られてしまった。この時間帯にイングランドが追加点を決めていれば、間違いなく勝負は逆の結果になったはず。

イングランドにとって不運だったのは失点場面はもちろんだが、後半15分を過ぎるとヴァーディが動けなくなってしまった事。後半25分にケインを投入してイングランドは4-4-2に戻したが、やはりヴァーディのボールを引き出す動きが無くなったのでケインが孤立し、その後はあまり有効な攻撃が仕掛けられなくなってしまった。ヴァーディはハイボール勝負に弱いのが難点だが、チャンスメイクという点ではレスター同様に代表でも欠かせない存在になりつつある。そういやこの試合は同じレスターのドリンクウォーターも先発してたが、ミス少なく地味に頑張っていたね。

長らくイングランド代表を引っ張って来たルーニーが近々復帰する模様だが、もうそろそろルーニーからケインとヴァーディの時代へと世代交代をしていいのではないか、そう思わせるイングランドの親善試合2試合であった。