「何とか勝利で最後を締められたが、日本の課題は残されたまま」東アジアカップ2015女子 日本-中国

ここまで東アジアカップを連敗しているなでしこジャパン。最終戦の中国戦は終盤の2ゴールで突き放し、何とか1勝を挙げて大会を終えることが出来た。

中国は、W杯でベスト8になったメンバーから10人が残っているチームだったが、とにかくほとんど攻撃に人数をかけてこず、セカンドボールを拾いに高い位置からプレスをかけて来ることも無かったのでロングボールを蹴られてもほとんど怖さを感じなかった。

が、それでも日本のピンチは決して少なくなかった。その理由は、今大会で目立つパスミスとパスの遅さ。運動量とアジリティで上回る日本は、中盤の足元での競り合いにはかなりの確率で勝てるのだが、せっかくアタッキングサードで前を向いてもすぐにスピードダウンをしてバックパスしたり、かと思えば自陣から無理なパスをカットされたりと、リスクをかけるべき場合とそうでない場合の状況判断力が相変わらず良くない。

中国の守備は一応ゾーン・ディフェンスの形式を取ってはいるが、スカルトゥーラとディアゴナーレでシフトする動きがほとんど無くて、4-4-2の3ラインをほとんど崩さずリーチの長さと前後の挟み込みだけでボールを奪うような感じだったが、そんなシンプルな守備も日本はなかなか崩せなかった。

それは主に、高瀬が相手DFの間に埋没してボールを受けたり引き出したりする動きがほとんど無かったからだが、中盤の選手もしっかり味方の動きを見て判断せずに、相手の圧力に負けて適当なスルーパスやクロスを出して何もいない場所にコロコロ、というシーンが多かった。まあオートマティズムという意味では、いちいち判断をせずにスペースにボールを送るという姿勢は正しいのだが、そもそもそれが効果的なチームになってないからね。

そういう意味では、先制点の横山はしっかり相手のラインのタイミングを見て裏へ抜け出し、スルーパスを確実にトラップ、そしてGKの動きを見て浮き球のシュートを決める判断力、冷静さは見事で、相手ゴールに近づくほど慌ててしまう今回のなでしこジャパンにあって際立った印象を受けた。

ただ決して悪い点ばかりではなく、杉田はゴールを決めた以外にも日本の中ではキック力を感じさせたし、京川は不慣れなポジションながら攻守に粘り強さを出し、有町や中島はSHになってさらに良くなった。川村はさすがの安定感だが、中国戦はちょっと余裕を出しすぎて危ないシーンもチラホラ。W杯組との差はまだまだ大きいが、それなりに底上げが図れた大会であったように思う。