柿谷は、ヘルタでの原口のような変身を遂げられるのか

昨期の「YOICHIRO KAKITANI TV」で懲りたのか(笑)、今年はまだスカパーでスイスリーグの放映権が獲得されてない様子で残念ながら試合をテレビでは見られないのですが、スイスリーグ開幕戦のファドゥーツ戦の柿谷タッチ集は見てみました。

柿谷のポジションは右のウイングで、持ち前の繊細なボールタッチやパステクニックで、ゴール以外にも攻撃を活性化させる働きが出来ていましたね。ただ、いったんスピードダウンすると足元で捏ねてバックパスしがちで、そのバックパスもミスが何度かあったのはいただけません。スピードを落としてからドリブルで再加速したり、パスを出してからのダッシュなど、守備から攻撃へのインテンシティをもって高める必要があるでしょう。

あと明らかに向上しているのはオフ・ザ・ボールの質。以前なら、サイドで出場すると守備のポジションを守らない事が多かったですが、今期はちゃんとSBと連携を取ってカバーが出来ており、やっとサイドプレイヤーらしさが出て来たように思います。

日本では攻撃的な選手は守備戦術に関わらない場合が多く、監督や他の選手もあまりうるさく言わないと言うか、ポジショニングで激怒するシーンはほとんど見なかったりするのですが、欧州の場合はゾーン・ディフェンスにしてもマンマークにしても、サイドの選手は必ずと言って良いほど守備戦術を順守しなければなりません。

しかも、欧州では若年層からゾーン・ディフェンスの下地が出来ている事は当然であり、監督もいちいちそこを教えない人が多いです。しかし日本はようやく若年層で戦術を意識した練習が取り入れられつつある段階で、もともとの戦術理解ベースにギャップがある上にコミュニケーションの問題があり、欧州移籍で日本選手が躓きやすい要因になっています。

特に柿谷の場合は前任のパウロ・ソウザ監督が、どうも戦術的に物足りない動きをすると即座にスタメンから外してしまうタイプっぽくて、スイスリーグのようなゴール前の攻防が激しいリーグでは柿谷は1トップでも使えず、それが干される要因になっていたように思います。

ただし、たまにそういう「守備の文化」が欠如した日本人に対しても熱心に教える物好きな監督がいて、昨期のヘルタで原口が劇的に向上したような事が起きたりするのですが、もしフィッシャー監督がそういうタイプなら今期の柿谷はかなり期待が出来るんじゃないでしょうか。何とかスカパーの放映権が取れると良いなあ・・・