「これぞ南米小国のしたたかさ」コパ・アメリカ 準々決勝 ブラジル-パラグアイ

コロンビア戦での報復行為&審判への暴言でコパ・アメリカからエースのネイマールがリタイアしてしまったブラジルは、ベネズエラ戦でロビーニョの代役が当たってグループを1位通過したのだが、決勝トーナメント初戦では前回大会に続いてまたもパラグアイ相手にPK戦で敗れるという結果になってしまった。

それでも前半のブラジルにはキレがあった。フィルミーノがスペースを作り2列目が流動的にポジションを変え、ダニ・アウヴェスが積極的にオーバーラップし、前半15分に流れるような攻撃からロビーニョのシュートが決まった時は、これで何故ブラジルが負けたのか不思議なぐらいだった。が、その勢いは長く続かず後半には完全に停滞してしまった。

ドゥンガ監督が試合後に体調不良の選手が多かった事を敗因に挙げていたが、やはりベネズエラ戦では獅子奮迅の働きを見せていたウィリアンが明らかに精彩を欠いたプレイになっていたのと、ロビーニョも後半はほとんどボールに絡めなかった事が大きかったのだろう。

あとはやはりパラグアイ守備陣の強かさ。あまりマイボール時にラインを上げず、ブラジルの前線をしっかりマンマークで捕まえる。するとブラジルの守備もそれほどコンパクトではないので結果的に中盤が間延びし、選手間の距離が長くなってコンビネーションよりも単発の攻撃が多くなり、個人で打開できるネイマールを欠き、ロビーニョとウィリアンが動けないブラジルはすっかり攻め手を失い、パラグアイの術中にはまってしまった。

そして71分にチアゴ・シウバによる馬鹿みたいなハンドによるPKで追いつかれ、慌てて投入した選手もエヴェルトン・リベイロ、ジエゴ・タルデリと微妙な選手ばかりで、おまけにエヴェルトン・リベイロはPK戦で豪快に枠外へかっ飛ばすという何とも情けない幕切れになってしまった。

確かに、ネイマールが居ても優勝争いは厳しいんじゃないかと思っていたけど、まさか決勝トーナメント初戦でブラジルが負けるとはちょっと意外だった。もはやブラジルは世界のサッカー強国ではなく、南米予選を争う単なる1つの国になっているのかもしれないなと、寂しい気持ちになってしまう試合であった。