「やっと、清武がトップ下としての責任を果たす」ドイツ・ブンデスリーガ第34節 ハノーファー-フライブルク

史上まれに見る激戦となったドイツ・ブンデスリーガ1部の残留争い。ハノーファーの最終節は、同じ34の勝ち点で並ぶ14位のフライブルク。17位のHSVが勝ち点32なので、負けるとどちらも自動降格の可能性がある壮絶な直接対決である。

そんなヒリヒリとした空気をわずか試合開始3分で清武が一変させた。左サイドを駆け上がったアルボルノスにロングパスが届き、ダイレクトのクロスを中に入っていた清武が頭で合わせて値千金の先制点をゲットする。

これまでの試合では、ゴール前に直接入らずラストパスが出せる位置に控える事が多かった清武だったが、ゴールが取れる場所にすぐさま飛び込み、しかもヘディングで決めるという、何故今までそれが出来なかったのかと言いたくなるようなゴールへの高い意欲が結実した。

これで一気に試合展開が楽になったハノーファー。そこからは、じっくり4-4-2のゾーンを自陣に引いて、しかしあまりマークの受け渡しはせずにマンマーク気味にしっかり守る戦術を遂行する。

ただいまいち解せなかったのは、それほどフライブルクが前に出て来なかった事。確かにパダーボーンは前半の時点でシュツットガルトをリードしていたし、HSVもシャルケに同点だったから負けても残留が決まる状態ではあったのだが、後半早々にHSVが得点したので、プレーオフ圏内に入ったのは分かっていたはず。

そして後半27分にシュツットガルトがパダーボーンを逆転、フライブルクが負けると自動降格の可能性が出て来た事でようやくフライブルクにも尻に火が付いて攻勢に出るが、ハノーファーも清武を下げて守りを固める。と、その直後にカラマンが左サイドでボールをキープしながら反転、そこから持ち込んで放ったシュートをいったんGKビュルキが弾くものの、それをクルマシュがクリアーしようとして自陣ゴールに蹴り込んでしまって決定的な2点目。

フライブルクはパワープレイで後半ロスタイムに1点を返すものの反撃はそこまで。ハノーファーは勝ち点37の13位で残留を確定、フライブルクは勝ったシュツットガルトとHSVに抜かれてまさかの自動降格という、まさに天国と地獄のタイムアップになってしまった。

これで図らずも日本人選手が所属するチームは全て残留が確定する事になり万々歳ではあるのだが、チームの成績と呼応してパッとしないパフォーマンスの選手が多かったのも事実。来期はしっかり立てなおしてもらって、あまり残留にハラハラしないシーズンにしてもらいたいものだ。