「得点こそ無かったがしっかり仕事は果たした2人のシンジ」ドイツ・ブンデスリーガ第21節 ボルシア・ドルトムント-マインツ

日本のサッカーファンの注目を集めていた、香川と岡崎の両シンジが先発した「シンジ・ダービー」。

まず試合は意外な形で動く。前半わずか開始1分に、岡崎のチェイシングに焦ったドルトムントGKヴァイデンフェラーがパンチングでクリアすると、マインツのソトがゴールから飛び出したヴァイデンフェラーを見てダイレクトで折り返し、その浮いたボールがそのままゴールに飛び込んで何とマインツが先制する。

マインツはいつもの4-2-3-1ではなくて4-3-3のフォーメーションを組んで来て、アンカーの選手が香川をビッチリマークしつつ、ドルトムントのボランチであるギュンドアンとシャヒンにプレッシャーを駆ける狙い。先制したマインツはその後は自陣に引いてしっかりそのタスクをこなし、ドルトムントは何とかサイドチェンジを交えながら揺さぶろうとするがゴールは割れず。

逆に前半30分頃はマインツがドルトムントのパスミスを拾って押し返し、その流れでセットプレイのチャンスが連続して訪れてドルトムントにとっては嫌な展開になるが、ここは体を張った守備で踏ん張って何とか1失点に抑えて前半を終了する。

後半になるとドルトムントがマインツの3ボランチに対して対策を施して来た。前半はトップ下で厳しいマンマークを受けていた香川がサイドにポジションチェンジするなど前線を流動化させ、そのスペースにダブルボランチの1人が上がってボールを受け、そこからさらにDFラインの裏を前線の選手が突くという形で攻撃のリズムを掴む。

それでドルトムントは繰り返しセットプレイのチャンスを迎えると、後半4分に香川のクロスでゲットしたCKからスポティッチが頭で合わせてドルトムントが同点に追いつく。そして10分には香川が左に流れてロイスが中に入り、そこからスルーパスを受けたロイスがGKを交わして一気にドルトムントが逆転。

しかしここで一気に流れを固められないのが今期のドルトムントで、そのわずか2分後にセンターライン付近で選手がタックルを受けて倒れた場面で守備陣がセルフジャッジで足を止めてしまい、その隙にマリがゴール前に飛び出して同点ゴールを決めてしまう。

ここからしばらくは膠着状態が続いてまたドルトムントに嫌な空気が流れるのだが、後半26分に左サイドのロイスが出したアーリー気味のグラウンダーにオーバメヤンが反応し、DFとGKと交錯しながらもボールをゴールへ流し込むというオーバメヤンらしい得点で再びドルトムントがリードを奪う。

マインツはさすがにここで気持ちが切れたのか、その後は岡崎も試合の流れから消えてしまい、すっかり勢いを取り戻したドルトムントの攻撃に対して防戦一方。最後はシャヒンにダメ押しゴールを決められて4-2で試合終了。ドルトムントは今期を象徴するような前半の苦しい流れに対し、しっかり自分たちのサッカーを信じてインテンシティを保ち続けた事が勝利を引き寄せたポイントだった。そういう意味で、ドルトムントにとっては非常に価値のある連勝になったと言えるだろう。

香川については、ポストをかすめる惜しいシュートが2本、GK正面に飛んだダイレクトシュートが1本、アシスト未満のクロスが1本と結果は出なかったが、特に後半は好調時を思わせるようなゴール前でのターンとアイデアが見られるようになり、かつての好調時に比べて8割程度の出来に戻って来たように思える。このままチームとともに上昇気流に乗って行ければ完全復活は遠くないのではないだろうか。

岡崎は先制点の場面に見られるようにポストプレイやチェイシングに奮闘。マインツにとっては貴重な基点として頑張っていたが、実質1トップの孤立状態ではシュートを打つまでには至らず、後半は息切れでお疲れ様交代。チームもドルトムントと勝ち点で並んで降格圏が見えて来てしまったので、次こそ何とかゴールを期待したい。