消去法を駆使すると、誰も残らないのが協会の現状

八百長疑惑によるアギーレ監督の契約解除という事件の後ということで、現執行部の責任問題が問われたJFA理事会ですが、結局は降格等の処分は行われない事が決まったようですね。

その代わり、大仁会長は給与の50%、原博実専務理事と霜田正浩・技術委員長は給与の30%をいずれも4か月間、自主返納することを理事会に申し入れて了承されたと書いてあります。

この結果を受けてのネット上の反応は、やはり責任逃れの甘々体質だという批判の声が多いようですが、私自身の個人的な感情だけで言えばそれもまあ当然かなと。

ブラジルW杯でコンディションを崩した大きな原因と見られるキャンプ地の選定、強化スケジュールの失敗についての責任は協会にありますし、八百長問題の予見は不可能だったとしても、何らかの責任を取るのが組織トップの仕事でもあります。それが終わってみれば”自主返納”というのでは納得がいかない人がいるもの当たり前でしょう。

しかし悲しいかな、大仁氏は正直どうでも良いですが(笑)、原さんに取って変われる人材が現理事会にはおりません。何しろ、K淵氏会長&T嶋氏技術委員長時代には、ワールドユース準優勝、五輪とW杯で決勝トーナメント進出という歴史上最も結果を出した監督であるトルシエを人格だけをもって全否定し、単なる思いつきでジーコを後継監督に任命、それが失敗したら古川人脈を行使して有無をいわさずオシムを千葉から引っこ抜くという素晴らしい監督人事をしていたのですからね。ガバナンス、何それ美味しいの?というレベルです。

それがようやく原さんになって、技術委員会が主導して日本代表の目指すべき方向性を決め、それに合った監督候補をリストアップして交渉するという正常なプロセスになったわけですから、今彼らを解任してしまえば自動的にT嶋氏がトップに立つ事になってしまうわけで、再び時計の針が逆戻りする事になりかねません。

そういう意味では、K淵氏がバスケ協会の改革に乗り出し、T嶋氏がFIFA理事会選挙の準備で忙しいタイミングに、アギーレの契約解除と理事会のタイミングを合わせた大仁会長の先手?が功を奏したと言えるでしょう。

ただ、懸念点としては技術委員会の方向性が、いわゆる「日本はフィジカルが弱いからショートパスサッカー」「組織よりも個の能力、自由」という欠点を何かでごまかす思考法のままじゃないかという部分があります。ザック、アギーレという監督選びからすると原さん自身の考え方では無さそうですが・・・

サッカーというスポーツにおいては、いかに長所を伸ばそうとしても、相手は欠点を見逃さずに突いてくるというのは、W杯はもちろんアジアユース、ACLで嫌というほど見て来たはずです。日本の弱点である、個人と組織両面での守備能力不足を無視した指針のままであるのならば、即刻技術委員会を解体すべきでしょう。

本来であれば、岡田氏や宮本恒靖氏など、原さん以上に欧州の人脈を築いている人材が協会のトップになるべきなのでしょうが、早稲田閥、古川閥の年功序列の岩盤規制を崩さない限りは実現しそうにありませんからね。少なくとも、K淵氏の目が黒いうちは難しいんでしょうなあ・・・