「UAEの要注意人物は中村俊輔+香川真司+ダビド・ルイス」アジアカップ グループC イラン-UAE

今日のヨルダン戦に勝つかどうかも分からないのに、日本が1位抜けした場合の相手となるUAEについてどうこう言うのは取らぬ狸の皮算用みたいで気が引けるんだけど、UAEがイランに対して前半に75%という物凄い数字のポゼッションを記録した試合というのを耳にして、つい好奇心で試合を見てしまった。

で、結論から言うとその圧倒的な数字はほとんどUAEがボランチから後ろでボールを回していただけの事であった。何かUAEがバルサのようなサッカーをやっていたのではと密かに期待していたんだけど、やっぱりそういう妄想は裏切られてしまった。

何故か自力で上回るはずのイランが、もはやこのサッカーしか出来なくなってしまっているのか完全にリアクションサッカーでチームが徹底されていて、UAEがボールを持つと自陣にしっかりディフェンスの網を張り、ボールを奪うと素早くカウンターを狙っては来るのだが、チーム全体が押し上げては来ないのでカウンターがコレクティブではなく、フィジカルと高さでゴリ押しドリブルから点で狙うクロス、そしてロスタイムに決勝点を挙げたセットプレイの形ばかりで畳み掛ける迫力が感じられなかった。

おそらくイランが日本と対戦した場合もほぼ同じようなサッカーをやって来るのは確かで、特にテイムリアンが蹴るプレースキックは精度が高く、ゴール前で選手が飛び込む迫力はアジアレベルを超越しており、セットプレイに対しては相当注意すべきと言うか、無失点で終えられるとあまり期待しない方が良いかと思う。リスク管理を十分整えた上で、あまりコンパクトさは無くて個人能力に頼りがちな守備の間を突く攻撃で崩したいところだ。

そしてUAE。この試合でポゼッション過多になったのはイランが引いた事も1つの理由ではあるだろうが、それ以上に影響を及ぼしているのがトップ下の10番であるアブドゥルラフマンの存在。ダビド・ルイスのようなアフロ頭をした小柄な選手だが、レフティーというのもあってかプレイスタイルは中村俊輔に酷似しており、広い視野と正確な技術でサイドチェンジ、スルーパス、浮き球を駆使してどんな体勢からでもパスを通し、ゴール前では細かいドリブルでPA内に攻め入るなど、贔屓目なしで突出した技術を持っている。

と言うかUAEの攻撃はほぼ全てが彼の働きに依存しており、トップ下に居るとボールがほとんど来ないのでボランチの位置まで下がって受け、自分がフィードやサイドチェンジを出してまた前線に上がって行ってラストプレイに絡むといった、まさにかつてのドルトムントにおける香川を見るような大車輪ぶりであった。逆に言えば、UAEのポゼッションサッカーは全てがアブドゥルラフマンを活かすために作られていると言っても良いだろう。

従ってUAE対策としてはいかにして彼を封じるかという部分になるのだが、日本のスタイルを考えると彼にマンマークを付けて潰すというのは考えづらく、UAEのハリルとマフブートの2トップにはスピードがあり、アブドゥルラフマンが高い位置で前を向き、FWの飛び出しに合わせるパスを出された時にはイランもピンチになっていたので、対策としては出来るだけ日本のゴール前に近づけないようにする事、そしてパスの受け手を封じるという点がメインになるだろう。

つまり中盤でしっかりプレッシャーをかけてアブドゥルラフマンがボールを受けに下がるようにさせ、あわよくば足元でキープした時にアタックを仕掛けて奪ってしまう。マイボール時にはしっかりとラインを押し上げてUAEの前線が簡単に飛び出せないように牽制する動きも必要だろう。と言っても向こうにしてみたら遠藤や香川、本田、岡崎がいる日本を抑えるほうがよほど大変なので(笑)日本側が構えすぎる必要はないと思うが、色んな意味で注目したい選手であるのは確かである。