「ユーベに引き分けたインテルは長友抜きでも強かったのか?」イタリア・セリエA第17節 ユベントス-インテル

クリスマス休暇明けの最初の試合は、いきなりのユーベ対インテルのイタリアダービー。アジアカップで長友を欠いているインテルは、SBがダンブロジオとカンパニャーロという組み合わせで、パラシオも風邪で欠場したためにイカルディの1トップに2列目がエルナネス、コヴァチッチ、グアリンという並びになった。

試合は序盤からユーベがサイドを制圧して圧倒的にインテルを攻め立て、わずか開始5分で右サイドでの展開から長い距離をオーバーラップして来たビダルにパスが渡り、クロスを中に居たテベスがきっちり合わせて先制点を奪った時は、これはいったいユーベはこれからインテル相手に何点決めるのかと思ったぐらいだ。

しかしそこは良くも悪くもイタリアのチームで、その後もビダルのミドルやポグバによるドリブルからのGKとの1対1など、ユーベに何度かあった決定的なチャンスをインテルGKハンダノビッチにスーパーセーブで防がれると、ユーベは徐々に点を取るよりも取られない事に重点を起き始める。

ユーベは特にゾーン・ディフェンスのようなテクニカルな守備組織ではないにせよ、各選手のマークに入るアプローチの早さ、連携の確かさ、1対1の強さでインテルの攻撃を完全に封じ込め、トップのイカルディは全く試合から存在しなくなり、コヴァチッチはボランチのあたりでウロウロ、たまにエルナネスがバイタルでキープしてみたりグアリン砲を打ち上げたりはするものの、前半のインテルは失点こそ1に抑えたがユーベの砦に傷ひとつ付ける事が出来なかった。

ところが後半になると、前半は精密機械のようだったユーベのプレッシングにほころびが見え始め、度々インテルがカウンターからチャンスに繋げる機会が増え始める。後半9分に新加入のポドルスキを左ウイングに投入すると、それまで迫力に欠けたインテルのサイド攻撃がようやく活性化、そして19分にボールを奪ってから一発のパスにイカルディが抜け出し、角度の無いところから決めてインテルが同点に追いつく。

後半のインテルには、得点場面の他に2回はあったイカルディの決定機など逆転できるチャンスは十分あったのだが決められず、後半41分にコヴァチッチが足裏を見せたタックルで一発退場すると、インテルはドロー狙いで守りに入り試合はそのまま終了。イタリアダービーは1-1という結果に終わった。

長友抜きでユーベアウェイの1-1なら十分強いのではないかと言われるかもしれないが、この試合に関してはどちらかと言うとユーベの詰めの甘さが出たと言うべきだろう。特にカンパニャーロのSBは全く存在感が無く、やはり現状の戦力では長友とダンブロジオのセットは不可欠である。しかも後半はユーベがガス欠を起こしていたので、長友が前半さえ攻め上がりを自重してリヒトシュタイナーを抑えられれば、後半は長友が十分無双できただろうにと思う。

アジアカップのアギーレジャパンはクロスが大きなテーマらしいので、今は少し錆びついてしまっているクロスの精度をアジアの国相手に取り戻してから、インテルに戻ればそれで良いのではないだろうか。