「少ないチャンスに決めるのがエース」ドイツ・ブンデスリーガ第3節 ヘルタ・ベルリン-マインツ

先週末は香川のドルトムント復帰初戦での復活ゴールで世間の話題はもちきりだったが、裏ではひっそりと岡崎が得意のドッペルパックで2得点し、地味に奥寺氏が持つ日本人最多得点記録を更新し、ブンデスリーガ得点ランキングトップに躍り出ていた(笑)。

とは言え、試合展開はそんなに楽なものではなかった。現在公式戦3試合で失点の合計が8と崩れているチーム状態を引き締めようと、ホームのヘルタはマインツの前線4人に対して激しいマークを仕掛け、序盤こそ岡崎の飛び出しに合わせるシーンはあったものの、そこからの時間帯は前線が全く前を向けずにほぼ沈黙。2列目の両サイドにはホフマンとアラギという新戦力が並んだが、真ん中のク・ジャチョルと並んでほとんどボールを繋げなかった。

マインツの守備はドイツらしく4-2のブロックを組んで早めのマンマークに移行するもので、前半は攻撃陣がボールをキープできないのでゾーンを押し上げる時間が作れず、1トップシーバーの高さを活かしたヘルタのロングボール主体のカウンターからSBの前のスペースを使われてセカンドボールを拾われるという苦しい展開。

しかし36分に、相手のクリアを拾ったマインツがサイドへボールを送ると、2列目から飛び出したク・ジャチョルが2度のシュートを打ち、どちらもGKに阻まれたが最後は岡崎の前に転がり、ダイレクトで蹴りこんで先制点をゲット。クのシュートを防いだヘルタGKクラフトがゴール中央へ走りこむ動きを冷静に読み取り、逆を突いたコースに蹴った岡崎の冷静さが光るゴールだった。

後半になるとヘルタがどんどんと前に出て来てマインツは防戦一方。それまで4-2か4-3のブロックで耐えていたマインツの守備組織も圧力に耐え切れず2列目が中盤に吸収されてしまい、岡崎は何とか前線で留まり我慢はしていたが孤立無援で、さすがに高さがないので苦し紛れのロングボールを収められずにまた押し込まれるという悪循環。

このままではマインツの失点は時間の問題かと思われたのだが、何故か後半25分を過ぎるとヘルタの足がぱったりと止まってしまい、エアポケットのようにマインツが5人押し上げたカウンターの場面で選手が戻りきれず、クロスをフリーで抜けだしたアラギに決められて2-0。後半41分にヘルタはPKで1点差に迫るものの、ロスタイムには絵に描いたようなマインツのカウンターが決まり、最後はマリのアシストで岡崎がドッペルパック。これで完全に勝負あり。

試合の展開的には終始マインツが押されていただけに、先制点とダメ押しを冷静に決めた岡崎の働きはまさにエースとしてふさわしいもの。これでハイボールやポストプレイが強かったら本当にビッグクラブへ行けるレベルの選手なんだけど、味方の理解の中で活きるという意味では香川と似たタイプであり、個で勝負のビッグクラブよりはミドルクラスのチーム向きなんだろうなと思う。

ヘルタは原口が怪我でもロニーやベン・ハティラ、あのカルーまでサブで出して来るだけの前線の選手層がありながら、得点はPKのみで敗戦。相変わらず攻守ともに歯車が噛み合っていない様子。せめて細貝を出していればガス欠にはならなかったのではと思ってしまう。次節あたりには原口が復帰するのではないかと言われているが、何とか起爆剤としてチームを救う働きを見せて欲しいね。