「このリアリズムが手倉森監督らしさ」アジア大会男子サッカー グループD 日本-クウェート
アジアU-16選手権では、案の定鬼門の韓国相手に吉武ジャパンは敗れてしまってU-17W杯の出場をのがしてしまったが、U-21の手倉森ジャパンはアジア大会の初戦でクウェート相手に4-1と手堅いスタートを切ることが出来た。
今回のクウェートはどうやら本当にU-21の選手で構成されていたらしく、いつもの中東でよく見られる髭面でガッシリしたどう見ても30歳台に見える選手が見当たらず、全員ちゃんとティーンエージャーらしい顔と体格なのでちと驚いてしまった(笑)。
そういう理由もあるのだろうが、日本がクウェートに対してフィジカルで優位に立ち、セットプレイから高さで得点するというののはなかなか新鮮な感覚だった。
徹底してパステクニックを優先した小柄な選手ばかりを集めた吉武ジャパンとは違って、手倉森監督の思想はあくまで現実主義、リアリズムが貫かれており、この試合では3バックに岩波、西野、植田、1トップに鈴木武蔵という180cm台後半の選手をずらりと並べ、4-4-2気味な布陣のクウェートに対して岩波と植田の2人がマークして西野がカバーし、室屋と山中のWBが5バック気味に相手のSHをカバーするという手堅さ。
戦術的にも3バックが攻撃時にはしっかりラインを上げるという事以外は特に複雑な事はせず、鈴木武蔵と両WBの三角形をロングボール主体でシンプルに使って基点を作り、大島と原川、中島と野津田という4人のテクニシャンが絡んでチャンスメイクをするという明快なスタイル。
クウェートの守備は一応4-4でゾーンらしきものを作ってはいたが、スカルトゥーラ&ディアゴナーレの連動性はさっぱりだったので、ゾーンが比較的コンパクトさを保っていた前半は日本が攻めあぐねて苦しみはしたが、後半になってクウェートのバイタルが空き出すと日本がスペースを使った攻めで得点を重ねることが出来た。やはり代表はなるべく約束事はシンプル、しかし順守は必須という基準で考えるべきなのだ。
とは言え、この試合は相手が相手だし、本当の真価はこの世代最強クラスを誇る同じグループのイラクとの試合を見てみないと分からないが、明らかに協会の内部に巣食っているであろうショートパスサッカー信仰から、アギーレジャパンと手倉森五輪代表、吉武U-17の結果で脱却できるようになれば良いなと思う次第である。
-
前の記事
「何故香川はドイツで躍動できるのか、改めてその理由に気づいた」ドイツ・ブンデスリーガ第3節 ボルシア・ドルトムント-フライブルク 2014.09.14
-
次の記事
「本田の2戦連続ゴールが霞んでしまうザル試合」イタリア・セリエA第2節 パルマ-ミラン 2014.09.16