「何故香川はドイツで躍動できるのか、改めてその理由に気づいた」ドイツ・ブンデスリーガ第3節 ボルシア・ドルトムント-フライブルク

いやしかし、焦りと気負いで散々だったマンUとブラジルW杯での出来から、香川はとにかくプレイがメンタルに左右される選手だなと思っていたんだけど、ドルトムントに戻ったらこれほどまでにイキイキしたプレイを見せるとはさすがに想像できなかったね(笑)。

一応、試合前は復帰第一線だから気負いがあるんじゃないか、戦術やコンビネーションがフィットせずに空回りするんじゃないかと心配はしてみせたんだけど、それが杞憂などころかまさか1試合目にして香川がドルトムントの攻撃を完全に把握したまさに「キング」状態になっていたのだから、こちらとしては笑うしかない。

怪我人続出のドルトムントは、ラモスの1トップに2列目がグロスクロイツ、香川、ムヒタリアンと並ぶ4-2-3-1のフォーメーションで臨んだのだが、試合開始から4-4-2のゾーンをガッチリ固めるフライブルクの守備に対し、フンメルスやギュンドアン、シャヒンといった選手がいないせいかとにかく後方から前線へほとんどパスが出て来ない。

特に酷かったのがケールとヨイッチのボランチの出来で、どちらも不用意に上がってバイタルのポジションをがら空きにさせ、ミスパスから必死に戻って何とかクリアというマッチポンプ状態。これが2日後に迫っているCLでのアーセナルが相手なら前半のうちに4点は取られているであろう有り様だった。

ただそんな中でも香川は工夫を怠らず、前半の序盤は主に左サイドのスペースへと走ってロングボールを受け、ビルドアップが停滞すると見るやボランチの位置に下がってポジションチェンジによるスペースメイクを促すなど、かつてのプレイメイカーぶりをきなり発揮。

そして圧巻は先制点の場面で、左サイドでボールを受けてから細かいターンで溜めを作ると、左サイドを駆け上がるグロスクロイツにアウトサイドでドンピシャのスルーパスを送り、クロスをきっちりラモスが合わせて決めた。これがマンUならターンの時点で体ごと押し倒されていたし、サイドを誰も駆け上がってないからなあ(苦笑)。これが見れただけでもドイツに戻って良かったと思ったね。

そして香川が決めた2点目は、ラモスのクロスをムヒタリアンがスルーしてそれを逆サイドにいた香川がボレーで決めたものだが、これもマンUならスルーなんか(中略)だけど、それにしてもバウンドするクロスを吹かさずに上手く当てた。これも今までの香川では考えられない安定性である。

しかもプレミアでの経験を活かしてマークを背負ってもフラフラ逃げずにボールを引き込むメリハリのある動きをし、サイドでもボールをキープしながら仕掛ける姿勢を見せ、相手に当たられてもブレずにターンと、フィジカル面で成長した部分をドルトムントでのプレイに昇華しているのは頼もしい限り。

香川は久々の躍動で足が持たなかったのか、62分に足が攣ってチャントの大歓声に包まれて交代したんだけど、その後はドルトムントの攻撃が完全に沈黙してしまい、得点はカウンターから個人能力でぶっちぎったオーバメヤンのゴールのみ。ロイスが不在とはいえ、香川は出場わずか1試合目にしてドルトムントの攻撃的な中心である事を自ら証明してしまった。

しかし、香川が去った後の機能しないドルトムントを見ていると、何故香川がドルトムントであれだけ活躍出来るのが分かったような気がする。それは、香川以外の選手はだいたいボールが来た時の状況でどういうプレイをするかが予測できてしまうために、相手にしてみたら対処がしやすいのだと思う。

例えば、右サイドにいる右利きの選手がパスを受けた場合、内側に相手がいると必ず縦にパスを出すかドリブルをしようとする。だから相手にしてみれば次は縦に来るなと守備陣形を寄せて対処すれば攻撃を止められる。ところが香川は狭いスペースでターンをして寄せる動きの逆を取れるし、両足の両サイドでパスを出せるので相手にしてみたら次の予測を無力化されてしまう。

プレミアの場合、とにかくフィジカルアタックやスライディングでボールホルダーをぶっ潰すのがディフェンスの役割であって、そもそも予測をして陣形を動かすようなチームは極めて稀である。シュートもそうだが何かにつけて相手の逆を取る遊び心に溢れたプレイが香川の真骨頂なので、一本調子で余裕というものが存在しないプレミアでは苦しいのは自明の事だったのだ。

とは言え、香川本人はともかくチーム全体の出来はまだまだ課題が多い。まともなボランチの人材はいないし、得意のゲーゲンプレッシングもポジションバランスが崩れているので連動できず、簡単に間を抜かれてしまう。香川がもたらした攻撃の自信をもとにあと2日でどれだけ立て直せるかに注目したい。

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