「大迫の母校はゾーン・ディフェンス」全国中学校体育大会サッカー 青森山田-鹿児島育英館

昨日は何となく以前に録画してあった全国中学校体育大会のサッカー決勝、青森山田と鹿児島育英館の試合を見てみた。

鹿児島育英館と言えば、あの大迫の出身中学校である事で知られているが、そこの山平監督が見せるサッカーがしっかりと組織化されたゾーン・ディフェンスなのにまず驚いてしまった。以前から、日本の若年層指導における戦術意識の低さを問題視している自分にとっては、Jユースでないいち中学校がきちんと戦術的なサッカーをやっている事に驚き、心強く思った。そして青森山田のほうはマンマーク指向ではあるが、DFはまずラインを整えて押し上げてからマンマークへとブレイクしており、ゾーンに対する意識付けはある程度為されている。

ただ、残念な事に雷雨の影響でピッチはボールが止まるほど水を含んでいたので、両チームの攻撃は主にリスク回避のためにロングボール主体となってしまい、結果こそ1-0の最小得点差ではあったが個人での突破力に勝る青森山田の優勢は終始動かず、パスワークの良し悪しや勝敗の妙味という点ではあまり見どころが無かったのが残念だった。

ゾーン・ディフェンス最大の弱点は、バイタルエリアに複数の選手が入って来た時にスカルトゥーラとディアゴナーレが混乱することで、メッシのように狭いスペースを苦もなくドリブルで抜いてしまい選手でゾーンにひび割れを生じさせ、さらに彼を囮にして空いたゾーンを使うバルサのサッカーによって4-4-2ゾーン・ディフェンスは陳腐化させられてしまい、そこからバイタルをさらにケアする4-1-4-1、バイタルをアンカーじゃなくてDFがケアをしつつDFラインに穴を開けない5バックと遷移してきた背景がある。

この試合でも、育英館のゾーンに対して青森山田はロングボールのセカンドボールを狙う中盤をどんどん入り込ませ、縦への勢いを持ってのドリブルに育英館の守備が後追いになってラインをずるずる下げられ、青森山田に押し切られてしまった。いくら守備組織を作ったところで、やはり最後は個人の力で止めきる事が必要なのだと再認識させられたのであった。