「同じ5バックのように見えてもぜんぜん違う」J1第17節 サンフレッチェ広島-ヴァンフォーレ甲府

今回のブラジルW杯で一躍注目をあびるようになった5バック戦術。この試合で対戦したサンフレッチェ広島、ヴァンフォーレ甲府も同じ5バックの布陣を取っているチームだが、改めて注意しながら見るとその中身には相当違いがあると気付かされた。

まず広島の場合は、確かに相手ボール時にDFラインは5人がフラットなラインを作るのだが、あくまでそこはスタートラインという意味合いに過ぎない。ゾーンディフェンスの場合、中盤はディアゴナーレというボールホルダーに対してアタックに行った選手に向かって斜め方向に全体がシフトする動きが基本なのだが、広島はそこまでシステマティックな連動はしておらず、あくまで中盤以下の各選手は自分の判断で近いボールホルダーに対して寄せている感じ。つまり、どちらかと言うとゾーンではなくてマンマークがベースでW杯のオランダに近い形。

この方法の場合、例えば中盤で誰かが戻りきっていなくても後ろにいる5バックからのフォローが出来るので、ゾーンディフェンスに比べると連動性が欠けても守備が崩れにくい利点がある。逆に欠点は、マンマークがベースなので守備から攻撃に切り替わった場合のポジションが毎回バラバラで定型的な攻撃がしにくく選手同士による阿吽のコンビネーションが必要になる点と、カウンターで前に出た時にボールを奪われると後ろがバラバラゆえに崩されやすいという点にある。

実際、広島が喫した前半21分の失点はまさにその形で、ボールを奪って前に出ようとしたところでミスから逆襲を食らい、あっさりと崩されてクリスティアーノに決められてしまった。その後も個の力が問われるマンマークベースであるがゆえに、個人打開力を持ったクリスティアーノに振り回される場面が何度かあり、数的優位なはずの甲府に2点目を決められてもおかしくなかった。

それに対して甲府の場合は同じ5バックであっても中盤がディアゴナーレの動きをするゾーンディフェンスで、オランダというよりはコスタリカに近い。が、甲府の問題はゾーンの組織はできていてもインテンシティが低いので、せっかくの組織が生かされていない点にある。そこが同じゾーンディフェンスを行う鳥栖との順位差に現れているように思う。

例えばラインコントロール。ゾーンディフェンスの場合、トルシエのフラット3が良い例だが、相手ボールの位置とボールホルダーの向きによってラインの上げ下げは自動的に決められる。つまり、相手がバックパスをするとそれに応じてゾーン全体が上がり、相手の前線がオフサイドエリアに取り残されると同時にバックパスを受けた選手にもプレスがかかるという効果がある。

ところが、甲府のDFラインは相手の前線に引っ張られる事が多く、いとも簡単にPAの中までラインがズルズル下がってしまう。そのため中盤のプレスの出足が失われ、全体的に足が止まった状態で攻撃を待ち構える事になるので、スカルトゥーラとディアゴナーレという一連の動きが後追いになってしまってボールを奪い返せない。かと言って1対1で激しく行ってるわけでもない。

ただ、この試合の場合は前半33分に甲府の石原がGK林にジャンピング空手キックをかまして一発退場したおかげで、日本戦のギリシャのようにひたすらゴール前に壁を作って耐えるしかなくなり、かえってインテンシティの弱さが出にくくなった面があったように思う。とは言え、最後にはルーズボールを柴崎に押し込まれて残念ながら逃げ切りは出来なかったが。

前回に見た鳥栖と川崎に比べると、両チーム共にチームの強みとなる部分のさらなる徹底、インテンシティの強度という面で物足りなさを感じる試合であった。

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2014/08/01 | Jリーグ, 未分類

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