「Jリーグ仕様からアジア仕様への転換が当たったFマリノス」ACLグループG 横浜Fマリノス-全北現代

グループリーグの出遅れによって敗退の崖っぷちに立たされていた横浜Fマリノスと、2位の全北現代との試合は、ホームのFマリノスが早々に全北の猛攻を受けてミスから先制点を奪われてしまうものの、後半にゴールの隅に吸い込まれた齋藤の無回転スーパーミドルシュートで同点に追いつくと、その直後にも相手DFの処理ミスを拾った齋藤がドッピエッタ、残り時間を何とか耐え忍んで2-1の勝利を飾った。

前半の横浜は、これぞアジアにおけるJリーグの負けパターンの典型という奴で、キム・ナミルに密着マークされた中村俊輔を初めとして、中盤から前の選手に激しくプレッシャーがかかっているため、なかなか後ろからボールを出せず、迷った末のかったるい横パスとボールコネコネでボールを奪われると、一気にサイドを中心とした攻め上がりに繋がれ、クロスを何とか弾き返してもセカンドボールを拾われ以下同様という流れ。ただ、ここで何とか1失点で踏ん張れたのが大きかった。

そして後半からはやっとこさ横浜は修正をかけ、キム・ナミルに消されて前線の単なる蓋になっていた中村をサイドに移し、FWに藤田を入れて4-4-2にする。そしてマイボールにするとSHとボランチ、SBでトライアングルを作ってシンプルに前へとボールを運ぶ。全北のプレスが後半から弱くなったのもあって、これで横浜のほうに流れが傾き、齋藤の2得点へとつながった。

何度失敗しても何故学習できないのか不思議でしょうがないんだけど、ずっと前からお題目のように唱えられている「フィジカルで負けるから日本はボディコンタクトを避けてパスサッカーで勝負しなければならない」という”理論”はほとんど幻想であり、ACLに優勝した当時のガンバ並のダイレクトパスを使ったポゼッションが出来なければ、中途半端なパスサッカーでは必ず中韓のプレスサッカーにやられてしまうんだよね。

ではどうすれば良いかと言うと単純な話で、ボディコンタクト、タックル、攻守の切り替えと、相手と同じ土俵に上がって同じレベルで勝負する事がまず必要であり、そこで五分近くまで持って行けて初めて日本の技術や持久力が生きてくる。自分の弱みから目を背けていたのでは永遠に勝てない。そんな事は15年も前にトルシエがとっくに説いていたはずなのに、まだ同じ罠に嵌っているんだから困ったものである。まあ、それだけ普段の環境がいかにモノを言うかの証明なのかもしれないけど。

もう一方のメルボルン対広州の試合は何とメルボルンが2-0で勝利したため、これでグループGKは全チームが勝ち点7で最終節を迎える超絶混戦模様となった。しかし横浜は得失点差で最下位であり、勝ち点で並んだ場合は当該チームとの勝ち点差が優先されるために、広州に勝たなければグループは突破できないという分かりやすい条件になってしまった。

最終戦の広州とのアウェイ戦は厳しいけど、FCソウル対広島戦の審判買収疑惑で注目が集まっているだけに偏向判定はしにくくなっているはずでチャンスはあるはず。中村に何とか復調してもらってセットプレイを武器にしたいところだね。