「ようやくブンデスリーガーになって来た清武」ドイツ・ブンデスリーガ第20節 ニュルンベルク-バイエルン・ミュンヘン

間違いなく現在世界最強と言って良いバイエルン・ミュンヘンに対し、一矢報いる事無く0-2で負けてしまったニュルンベルクだが、少なくとも前半の内容を見る限りでは意外な健闘を見せたのではないかと思っている。

前監督の下では、とにかく守備を固めてボールを奪ったら前に蹴りだすだけのサッカーだったニュルンベルクだが、この試合では積極的に高い位置からプレスをかけて、ボールを奪っても慌てて前に出さずに味方がしっかりとスペースに動いたタイミングでパスを出す意識が徹底されており、逆にバイエルンのほうがプレスを嫌ってロングボールを多用してきたほどだった。

そういうイレギュラーな手段でもきっちり結果を出せるのがバイエルンの強さで、前半18分にハーフカウンターからドゥルミッチやギンチェクに訪れた決定的なチャンスをノイアーが弾き返すと、逆にそのカウンターからの狙いすましたクロスをマンジュキッチが長い足を合わせて先制点を奪ってしまう。まさにGKの能力と個人能力の違いをまざまざと見せつけられた瞬間である。

さらに驚かされるのは、清武がニュルンベルクの攻撃の核になっていると判断するや否や、あのラームを清武に密着マークをさせてイエローカードを辞さないタックルを仕掛けてきた事で、残留出来るかどうかという下位のチームでなおかつ1点リードしている状態であれば、普通なら守備をルーズにするものなのに、蟻の一穴すら許さない絶対王者の姿勢には凄みを通り越して薄気味悪さを感じてしまうほどだ。こういう試合を見てしまうと、今のマンUやインテル、ミランとは次元の違うレベルにバイエルンはいるんだなと痛感させられる。

清武については、そんな壁とぶち当たりながらもDFへの裏抜けはするし守備のマーキングも最後まで食いつくし、以前のような淡白さと言うかお客さん状態というか、フィールドの中央で傍観者のように浮遊していたのとは違う、ブンデスリーガの選手らしい積極性、泥臭さが見られるようになったのは頼もしい。欲を言えば2回あったシュートチャンスが決まっていればだが、この姿勢はキープしてもらいたいものである。