「香川のサイドが機能しないのは、トップ下に香川がいないから」イングランド・プレミアリーグ第21節 マンチェスター・ユナイテッド-スウォンジー

本田のミランデビューの陰に隠れてしまったが、リーグ戦で先発になった香川もスウォンジー戦の後半にトップ下で活躍し、2-0の勝利につながる貢献をしっかり果たしていた。

しかし4-2-3-1の左ウイングだった前半はいつものようにチームがダメダメ。それが後半にトップ下で先発したヤヌザイと香川のポジションを入れ替えただけで内容が劇的に向上した事で、現在のマンUに足りないポイントがはっきり分かってしまった。

それは、端的に言えばトップ下の選手による攻守のバリアである。前半のヤヌザイは守備ではプレッシングをあまりかけないし、攻撃では無駄に持ち過ぎてボールをロストするために、相手のボランチからのパス展開をケアする必要に迫られたサイドの香川らは下がらざるを得なくなるし、逆にボランチはトップ下がやらないプレスのフォローで上がってしまうためにバイタルがスカスカ。そこのスペースに引っ張られてサイドがまた下がるという悪循環になってしまっていた。

ところが後半からトップ下に香川が入ってファーストディフェンスを仕掛けたために、ボランチはパスコースが読みやすくなってポジションが安定、守備のバランスが良くなると香川も下がる必要が無くなって高い位置でボールを受けられるようになり、PAの近くでチャンスメイクが出来るという好循環になっていた。

ルーニーがトップ下に入った時は、香川ほどじゃないがディフェンスを積極的に仕掛けていたので香川の位置も高めをキープ出来、ルーニーとのコンビネーションで良い攻撃を作れていたが、チチャリートやウェルベック、ヤヌザイになるととたんにプレスの実効性が落ちて余計に香川が消えてしまう。つまり、現在のマンUで左サイドの香川を機能させるためには、トップ下に香川が必要という逆説的な論拠になってしまうわけだ。

次節のチェルシー戦にはルーニーが復帰する観測が出ているが、強豪相手には前線からの守備がより一層重要であり、その面から見ればルーニー1トップで香川トップ下がベストだと思うんだが、果たしてモイーズがこの単純な理屈に気がついてくれているのかどうか・・・