「クラブサッカーと高体連サッカーの強みと弱み」高校選手権 準々決勝 履正社-四日市中央工

最近はACミランの練習場、ミラネッロで本田らが練習する動画を眺めることが多かったんだけど、スポ新じゃないのでそれだけで妄想記事を書くわけにもいかず、昨日は録画ストックの中から今日国立で準決勝が行われる高校選手権の準々決勝を見てみた。

どんな試合であっても対戦するチームにはっきりした対立軸があると、俄然試合を見ていて面白くなってしまうのだが、この履正社と四日市中央工の対戦もそういう試合だったように思う。

履正社は、ガンバジュニアユースから入って来た1年生がスタメンに名を連ねているチームで、いかにもユースサッカーらしくパスを受ける前にボディシェイプを作って次のパスの前段階としてのトラップが出来ており、インサイドでのグラウンダーパスでポゼッションし、ボール保持率では四日市中央工を圧倒していた。

しかしまだ1年生が多くて筋力が安定していないのか、足を止めた状態でのボールコントロールやパスは正確なのだが、走りながらのプレイになるととたんに不安定になり、ドリブルからのスルーパスが弱かったりぶれたり、シュートパワーが無いせいかゴール前であえてパスを回そうとして引っかかったりと、綺麗なんだけと点を取ることを忘れるという日本ユースの弱点をさらけ出してしまっていた。

逆に四中工のほうは、DFは来たボールを蹴り返す事が多いし、ボールを奪ってもなかなか上手くつながらないのだが、いったんボールを持ってしまえばそこからゴリゴリドリブルするし、ゴール前は躊躇なく強いシュートを枠に飛ばして来るしで、パスやトラップは下手だけど各選手のプレイが力強い。こちらは大陸的というか高体連らしいサッカーと言え、決定機の数だけで言えば四中工のほうが多いぐらいだった。

結果的には、後半に履正社がまたもロングスローから1点を先制するも、ロスタイムに履正社GKが痛恨のファンブルで四中工が同点に追いつき、途中で番組が打ち切られたと大ブーイングになったPK戦で四中工が国立に勝ち上がった。

準決勝の顔ぶれを見ると、パスをつなぐユースタイプよりも個人勝負の高体連タイプのチームが多く残っているのは、現状の育成年代の課題がそのまま出ているように思うのだが・・・吉武”金太郎飴”サッカーで世界に勝負するのはいいけど、果たしてその中から本田のような選手が出て来るのかどうか。簡単に答えが出るもんじゃないけど、いろいろ考えさせられる結果ではある。