「シャルケと内田に備わった経験」欧州CLグループE バーゼル-シャルケ04

今期のCL第1節で、何とグループ本命のチェルシーをスタンフォード・ブリッジで破るという金星を上げた難敵バーゼルとの対戦は、アウェイのシャルケが実に粘り強い守備を見せ、わずかなチャンスをドラクスラーの見事なボレーで奪った先制点を守りきり、開幕から2連勝を飾った。

昨日のエントリーで、最近流行し始めているモダンな4-1-4-1についてちょっと書いたのだが、まさにバーゼルはその典型例と言えるサッカーで、試合を見ていてシャルケと内田の出来よりも、バーゼルのサッカーがどうなっているのかについての興味のほうが勝ってしまった。

4-1-4-1は前方プレスに適したフォーメーションだけど、当然ながら欠点も裏側に存在していて、高い位置に横並びした2列目と1ボランチの中盤では非常にビルドアップが難しいという点がある。マインツの場合はほぼビルドアップを放棄してひたすら蹴り込んでいたんだけど、バーゼルの場合は1ボランチのフライがCBの間に入ってプレスの影響を弱めつつ、SBとアウトサイドハーフが高い位置に上がってサイドから崩しを入れる、変則3-4-3のような形で攻撃を組み立てていた。

それに対してシャルケは、ボアテングを1トップにして中盤を厚くし、内田とアオゴの両SBがほとんど上がらずにバーゼルの3トップをケアし、CBと連携をしながらバーゼルの攻撃スペースを丹念に潰してほとんど隙を見せなかった。アオゴのサイドは、バーゼルの注目選手であるモハメド・サラーのスピードに振り回されて青息吐息だったが、内田のサイドはヘヴェデスが堅かったのもあって終始安定しており、攻撃を受けながらも内田の表情には余裕が感じられた。

さらに内田が抜け目無かったのは、前半を無得点で終えたバーゼルが後半からアクセルを踏み込んできて、サイドで基点を作ってSBを引っ張りだしたスペースを使ってインサイドハーフが流れて来るなど、相手が前掛かり気味になっていた時間帯に、あえてスルスルとバーゼルのSBが上がったスペースに入り込んで来た事で、ドラクスラーのボレーシュートにつながるセットプレイも、その内田の攻撃参加から生まれたものだった。

前節で内田はCLでの初得点を挙げたが、狙い通りのサッカーで勝利を収められたという点では、今節の方が選手冥利に尽きる試合だったのではないだろうか。内田はこれで中村を抜いて日本人歴代最多のCL18試合目の出場になったが、2シーズン連続で出場しているチームと同様に、経験の重要性を感じさせられる試合運びだったように思う。