「終わりよければ全てよし?」キリンチャレンジカップ 日本-ガーナ

エッシェンやボアテング、アサモアといった攻撃の主力が不在、後半は時差ボケの疲れなどで動きが落ちたとは言え、グアテマラとは比較にならない強さの相手に3点を入れて逆転、チャンスの総数でも十分な内容の試合が出来た事は、これが国内での年内最後の試合という面でも良かったのではないかと思う。
コンフェデからウルグアイ戦にかけては、海外組のコンディションに大きなバラつきがあった上に、各自が攻撃で世界に挑むという意識が強すぎ、本田も香川も中へ中へと集まると同時にサイドのスペースにSBが上がってしまい、そこでのミスから薄くなった守備を突かれ、前線も攻守の切り替えが遅くて戻りきれず、カウンターから失点を重ねてしまっていた。
ところがガーナ戦では、失点してから前半終了までの時間帯は、上記のような悪い時の日本が見られはしたのだが、後半からはきっちり修正して来て攻撃では2-4-4、守備では4-4-2の形で、高いラインをキープして選手間の距離をコンパクトにし、各選手のポジションチェンジがあってもフィールド上でのポジションバランスが保たれ、ボールを奪われても大きな穴を開けることなく、守備へのプレスバックでパスの出しどころを抑えることが出来ていた。
コンフェデからの流れでは、本田を中心とした海外組の攻撃偏重姿勢をザックがコントロール出来ていないのではないかと心配していたのだが、ようやくザックが意図するバランスが取れたサッカーが見られてホッとした。とは言え、W杯本番を見据えてみるとまだまだ課題はたくさん残っている。
まず、カウンターの場面ではまだ守備の意思統一が出来ていない事。失点の場面も、香川はミスパスをしてから無意味なプレスに行ってSBのインコームをフリーにさせてしまったし、長谷部もせっかくアチェアンポングに付いて行きながら、人数が揃っていたDFラインに吸収されてマークを外してしまった。上がる選手をしっかり捕まえるという対カウンターの鉄則が相変わらず抜けている。
そして遠藤と今野のJ2ボケ(?)。後半は大分修正されてはいたのだが、遠藤はガーナのボランチの攻撃参加に付いて行かない事が多かったし、今野は前半の終わり頃にサイドで抜かれてしまったり、中途半端なアタックで最後は内田がイエロー覚悟で止めざるを得なかったりと、局面での対応の甘さを多々感じた。J2だったらそれでも大丈夫なのだろうが、世界レベルでは即失点につながる姿勢である。
最後にやっぱり出してしまった3-4-3。ザックは追加点のためと言うより、相手の2トップ変更への対応として3バックにしたと語っていたが、やはり攻撃が全く機能しないのは問題だ。その理由は極めてシンプルで、現代の3バックはサイドの高い位置から攻撃がスタートするのが全ての根本なので、そこにDFラインからサイドチェンジを送れる選手がいないと意味が無い。今野も吉田も縦パスは出せるけどロングパスの精度は甚だ怪しい。しかも前線の本田と香川にサイドを使う意識が低いので、完全に攻撃が積んでいる。
そういう意味で今後の鍵になりそうなのが森重の存在。彼が右CBから反対サイドの長友へサイドチェンジが出せるようになれば、そこからようやく3-4-3の現実性が生まれてくるかもしれない。でなければ、封印しておいたほうが賢明だろうねえ・・・