「長友は復帰したが、インテルの来期は?」イタリア・セリエA第37節 ジェノア-インテル

怪我人が続出してまともにメンバーが組めず、公式戦9試合で2勝7敗という惨憺たる結果でELへの出場権さえ逃してしまったインテル。長友が復帰したジェノア戦でもスコアレスドローに終わり、ジェノアにセリエA残留をプレゼントする結果になった。
まあ、試合内容に関しては書くまでもなくグダグダ。長友が問題なく動けていたのは喜ばしいが、彼らしい突破が見られたのは試合開始直後の1回と、カッサーノが途中出場してからだけであり、それ以外は低い位置に押し込められて、ボールを持っても前を塞がれて仕方なく中へ返す場面ばかりであった。
何しろ、FWが既に引退が目前の平凡な選手であるロッキのみという状態で全く前線でボールがキープできず、まともに攻撃を組み立てることが出来ない。そしてアルバレスは相変わらず調子に波があり、グアリンはまた以前の事故中無理やりプレイが戻って来てしまいと、とてもビッグクラブとは呼べない攻撃陣ではどうしようもない。
あまりにも怪我人が続出したために、ストラマッチョーニ監督の責任論はほとんど出て来ない状態だが、個人的な意見を言えば彼の続投には疑問符を付けざるを得ないと思っている。
もともと、インテルのチームカラーは外人トップスターを集めて個々の能力で勝つというもので、モウリーニョのような変人を除けば、選手を戦術で縛るよりも気持ちよく伸び伸びとプレーさせる事が優先され、コンパクトで統率された戦術は望めないのだが、インテル側が間延びしている分、相手の守備もやはり間延びされるために、結果的に1対1での勝負となって個の能力で勝るインテルが勝てたという面があった。
その意味でストラマッチョーニはインテルの伝統からは一歩も出ていない監督で、メンバーやフォーメーションは相手に応じてコロコロ変えるが、ベースとなる戦術には確固としたものがなく、結局選手が怪我で抜けたりコンディションが落ちると、一気に個の能力が落ちた部分から崩壊して行ってしまった。従って、よほど選手を補強しない限りは根本からの改善は困難であるように思う。
こういう八方塞がりの状態を見てふと連想するのは、ここ数年の浦和レッズのパターンに似ているな、という事。2007年に、ワシントンやポンテといった個の能力を活かしたサッカーでACLの優勝を勝ち取ったものの、その後はフィンケを招聘するもサッカースタイルの再構築に失敗し、低迷。その最たるものがゼリコ・ペトロヴィッチ時代で、ポンテと細貝が抜けて個の能力で勝負出来る選手がいなくなったのに、オランダ式のワイドサッカーを持ち込んで玉砕した。
結局浦和が復活したのは、ミシャという戦術の構築に長けた監督を招聘し、阿部、槙野、森脇、興梠といった戦術に合う選手を補強してコンビネーションを深め、そこに原口ら若手の成長が上積みされてのもので、インテルにとっても同じパターンが有効なのではないかと思っている。
幸か不幸か、来期はヨーロッパ戦が無いのでターンオーバーを考える必要がない。ファイナンシャル・フェアプレーでがんじがらめの状態で中途半端な補強をするより、新監督が選んだ若手を中心とした戦力で、一からしっかり戦術の土台を作るぐらいの切り替えが必要ではないかと思うのだが・・・