「乾には消化不良もチームは快勝」ドイツ・ブンデスリーガ第32節 フランクフルト-デュッセルドルフ

しばらく怪我で戦列を離れていた大前が先発で復帰、フランクフルトも通常通り乾が出場したので日本人ダービーとなった試合は、フランクフルトが成績通りの順当勝ちを収め、デュッセルドルフは降格圏からの脱出は敵わなかった。
大前のみならずフロントにも瀬田さんという日本人がいるだけに、デュッセルドルフに残留してほしい気持ちはやまやまなんだけど、残念ながらこの試合内容を見る限りでは正直厳しいと思わざるを得なかった。
一応、守備は3ラインを作って体裁を整えているんだけど、最終ラインが低くて全然コンパクトじゃなく、大前はトップ下の位置でプレスに走り回っても連動していない単発の動きでしかないので、ほぼ無駄走りで終わってしまっている。攻撃でも、4-4-1-1の前の2人をどう使って組み立てるかのプランが無く、何となく各選手がフリーな選手にパスを出すだけで、パスを出した後の動き出しというものがほとんど無い。
ニュルンベルクとかを見ててもそうなんだけど、ドイツではせっかく上手いこと行った試合があっても、それを維持する戦術的な裏付けが無いのか、あっという間に元のグダグダサッカーになるチームが多いよね。そういう意味では各選手がチーム戦術には忠実(でも個人戦術は弱め)なJリーグとは似ているようで大きな違いがある部分だと思う。
大前個人についても、まだドイツ人の間合いに適応できず、小さな切り返しが相手のリーチにかかったりする事が多く、持ち味を出しきれているとは言えない。大柄な選手に対しては、まず相手の重心を崩してから裏を取るようなスキルを身につけないと、大前の体格でこのまま正攻法で行ったとしても難しいと思う。彼個人の将来だけを考えたら、2部で試合に出まくってドイツに慣れる乾パターンでも悪くないんじゃないかと思うけどね。
その乾については、この試合のボランチが両方共右利きで攻撃が右に偏ってしまい、中に入ってみるもののマイヤーとポジションがかぶり、結局中盤の位置まで下がって組み立てに参加し、そこから中を経由してサイドでボールをもらう形で落ち着いた。と思ったら後半22分で交代。チームは勝ったし、歯車としては悪くない内容だったが結果が欲しい乾にとっては消化不良だったかもね。
CL圏内のシャルケとは残り試合で勝ち点3、得失点差でも差があるので逆転は厳しいだろうが、7位のHSVとは勝ち点4と離れたのでELは何とか行けそう。でも気を緩めるわけには行かないので、残り全力を出し切りたいところだね。