「抜け目ないバランス感覚」ドイツ・ブンデスリーガ第29節 シャルケ04-レヴァークーゼン

リーグの3位と4位、勝ち点4差で今期もCLのストレートインを争う積年のライバル同士の対戦は、アウェイのレヴァークーゼンが2点を先行するものの、シャルケは粘り強さを発揮して追いつき、2-2のドローで痛み分けとなった。
組織的なプレスを全面に押し出すバイエルンとドルトムントに比べると、レヴァークーゼンとシャルケのサッカーは、どちらかと言うとゾーンごとのツヴァイカンプフが基本で、そこからワイドにミドルパスを繋いでいく伝統的なドイツスタイル。従って、試合は序盤からオープンな攻め合いになった。
が、序盤は中盤からシャルケのDFの間を抜くスルーパスでレヴァークーゼンがチャンスを作り、その後は相変わらずマリカが基点にはなれないものの、バストス、ラファエル、ドラクスラーとボールを持てる2列目を揃えたシャルケがペースを握り、ともに決定機をモノに出来ずに互いに大味で単調な展開が続く。
その均衡が敗れたのは39分。セットプレイからシャルケの選手が傷んだために守備の集中力が一瞬切れてしまい、ファーに逃げたロルフェスのマークを見失ってゴールを決められてしまう。そして58分には、カドレツのFKがそのままゴールのファーに飛び込む不運な2点めを決められ、この試合はシャルケが運に見放されたかと思われた。
しかしここでシャルケがプッキを投入した采配が当たった。プレイスタイルが岡崎と瓜二つなプッキは、出場4分後にバストスが放ったミドルをGKレノがファンブルしたこぼれ球を押しこむと、87分にはPA内へのスルーパスにいち早く反応し、後ろから引っ掛けたトプラクを一発退場に追い込むファールをゲット、2点全てに絡む殊勲者の活躍でドローに持ち込んだ。
内田については、この試合ではファルファンの代わりに右サイドに回ったバストスとのコンビが期待されたが、バストスはパスを内田から受けてもオーバーラップには全く興味が無く、自分の前が塞がれたら100%ボランチに返すというトホホな連携ぶりで、前半のうちはほとんど攻撃が機能しなかった。
しかし点を取られてからはバストスが中へと入る事が多くなり、相変わらずバストスからはボールが来ないけれども、その分ボランチで先発したモリッツとの相性が良く、ヘーガーが献身的に後ろをカバーしてくれていたので、後半はほとんど上がりっぱなしで直接の点には関係しなかったものの攻撃に良く絡んでいた。
守備の方でも、後半は攻撃がメインだったとは言え、PAへの決定的なクロスをギリギリでヘディングクリアするなど、シュールレやロルフェスといった強力なサイドで破綻させずに1対1でもしっかり対応が出来ていた。そのあたりのバランス感覚は内田ならではという感じ。長友が長期離脱を余儀なくされている状況での内田の好調ぶりは心強い。このままの調子でオーストラリア戦に臨んで欲しい。