「出来が悪い前半にこそ成長が見えた」キリンチャレンジカップ2013 日本-ラトビア

まあ、普通に見て普通に感想を述べると、ラトビアが弱くて見どころが無かった、やっぱり遠藤と前田が入ると違う、本田は点を取ったけど調子は悪い、大津は初キャップおめでとう、ギャルの歓声凄いね、てな言葉で終わってしまうんだろうなと。
ザックは後半の日本を褒めてはいたけど、代表で長くやっていてコンビネーションが出来ている遠藤と前田が入り、ラトビアが疲れてスペースを与えてくれるようになり、1トップでは無理がある岡崎が右ウイングへと下がる事によって、左で崩して右で飛び出すといういつもの形が出やすくなったわけで、そりゃ点が取れて当たり前の話だと思う。まあ、点を取れるところできっちり取れる岡崎はさすがなんだけれども。
出来が悪かったと叩かれている清武にしても、ニュルンベルクじゃ岡崎のようにスペースへと飛び出したところで100回やってもパスなど全く来ないわけで(苦笑)、前半のスペースが無い状態であれば余計に足元でボールを受けてから何とかするプレイしか出来ず、明らかに清武向きではない試合展開でここまでボロカスに言われるのは気の毒ではある。
と、いろんなエクスキューズの部分を考慮すると、世間でダメ出しされている前半の試合は、意外と評価できるのではないかと個人的には思っている。
今までの代表であれば、やたらと動きまわってポジションのバランスを崩しては、ミスをしてカウンターから危ない場面を作っていたわけで、回数こそジーコや岡田ジャパン時代からはずっと少なくなりはしたものの、こういった久々かつ練習時間が取れない試合では、どうしてもそういう場面は出てきてしまっていた。
ところが、ラトビア戦の前半はシュートをわずか1本打たれただけで、こちらが慌てるような機会が全くやって来なかった。日本の選手が動かない分、かえって守備におけるポジションバランスが崩れず、しかも各選手がラトビアの体格に負けず余裕を持ったキープ、落ち着いた後方でのビルドアップが出来ており、安心して試合を見ていられた。
この試合の前半のように、調子が悪いなり、点が取れないなりに、きちんとリスクマネジメントを怠らずに試合をコントロールして冷静に落ち着いたプレイが出来るという部分に、海外組が増えて経験値を着実に積んで来た、日本の成長度合いが現れていたのではないかと思う。
次はカナダ戦、そしてワールドカップ出場権獲得がかかるヨルダン戦だが、ただラトビア戦の後半の内容を追い求めるのではなく、前半のような意識を忘れずに臨んでもらいたいところである。